教員スタッフ詳細

総合文化研究科・教養学部スタッフ

関谷 雄一 SEKIYA, Yuichi [教授]

開発人類学、アフリカ社会研究から始まった発展途上国の農村・社会開発研究が専門。社会システム工学にも関心を持っており、「人間の安全保障」の議論にもその知見を援用したい。

◇西アフリカを対象とした文化および社会の動態的様相をとらえる研究を続ける一方、東・南アフリカ方面にもフィールド範囲を広げて、次世代の農村開発実践を取り入れている現場調査を実施している。

◇また、社会開発のための戦略的コミュニケーション等の手法に注目した分析研究も実施し、戦略的コミュニケーションのさまざまな社会問題への応用の可能性を探りたい。BOPビジネス商品のマーケティング戦略等への同手法の応用に関心を寄せている。

◇「人間の安全保障」の枠組みの中で、問題を抱える人間集団や社会の生存とライフスキル、社会の共同と自立をめぐる諸課題に見出すことのできる普遍性と特殊性、定性的データと定量的データをバランスよく議論できる相対的な視座を養う研究を試みたい。

◇さらに、東日本大震災による原発事故で困難な状況におかれている福島県について、アクションリサーチを開始しており、今後同県の創造的復興開発の在り方について、学生と共に考察してゆきたい。

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撮影:Tomas Svab

田辺 明生 TANABE, Akio [教授]

「人間とは何か」という人類学の問いについて、歴史人類学、生存基盤論、比較存在論などの枠組からアプローチしてきた。主たるフィールドはインド。

◇ これまでの研究における問題意識や視角はおおむね以下の三つにまとめられる。これらは、人間について、歴史論、地域(風土)論、存在論という観点から考える試みであった。

1)日常性の歴史哲学としての歴史人類学。人間の日常生活は歴史に支えられた習慣として継続性を保ちつつ、また歴史的な変化を遂げていく。これは人間の生命・生活を歴史性の観点から理解する試みであり、持続と変化についての理論的検討を含む。

2)主体と環境の相互作用にかかる生存基盤論。人と人そして人とものの地域(風土)的関係性について、それらを構成する技術・制度・価値に着目しながら、自然生態・社会文化・政治経済の総合的な観点から考察する。主体論、関係論、環境論についての理論的検討を含む。

3)精神の比較存在論。生命における主体性と歴史性を根源的に考察するにあたっては、自己と環境の水平的な〈あいだ〉に加えて、自己と自己の根拠との垂直的な〈あいだ〉を考える必要がある。これら二種類の〈あいだ〉によって自己の精神はかたちづくられる。このような人間精神のありかたについて比較と連鎖の観点から検討する。

◇大学院生の指導においては、本人の問題意識や関心を尊重しつつ、自主性に期待し、学術的に考察を進めるための方法や枠組をつくるサポートをしたい。地域やトピックは限定しないが、指導できることは自ら限られる。

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塚原 伸治 TSUKAHARA, Shinji [准教授]

民俗学を専門とする。特に、日本の地方中小都市に生きる人々の現在について、歴史や伝統との関係から考えてきた。近年は民俗芸能や祭礼のような古典的対象について新しい視点から考えることにも取り組んでいる

研究のフィールドはおもに千葉県香取市(佐原)、滋賀県近江八幡市、福岡県柳川市。取り上げてきた対象は商慣習、家の継承、儀礼、民俗芸能、美術工芸、町並み保存運動、文化財行政、歴史語りなど多岐にわたる。必ずしも一貫性をもって突き進んできたわけではないが、全体を貫く緩やかな志向としては、現在を生きる人々が歴史や過去とどのような関係にあるのかということについて、特に伝統の拘束的な側面から考えようとしてきたといえる。

史料を用いた歴史民俗学的研究も手がけており、福岡県柳川市の商店街に生きてきた人々について、日常史という視点から民俗誌を書いている途中である。具体的な街角のできるだけ微細な日常生活の変化に目を向けながら商店街の成立・発展・衰退のプロセスを描くことで、商店街衰退をめぐるさまざまな支配的語りを相対化することを目指している。

長期的には、日本の民俗学を学際的・国際的な動向の中で位置づけるということにも関心があり、文化人類学および歴史学との接点や、アメリカ民俗学の研究動向との接続の可能性などを模索している。この課題にひとりで取り組むことには限界があるため、対話や共同作業のなかで少しずつ考えていきたい。

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津田 浩司 TSUDA, Koji [准教授]

東南アジア・東アジアの文化人類学。とりわけ民族・エスニシティや宗教にまつわる現象に関心を持っている。専門は現代東南アジア島嶼部(主にインドネシア)の華人社会に関する民族誌。

◇政治・社会体制の転換に伴い、人々がどのように「民族性」を経験し、意識し、主張するかを、ローカルな場からミクロに観察し続けている。ある対象をいかに切り取り、調査し、それを民族誌記述につなげるかといった問題についても、考察を進めている。

◇近年は、国家等が課す諸制度やグローバルな流動の中で、人々の信仰様態がいかに変容・持続するか、またその過程で「宗教」や「文化」の領域がいかに再編されるか、といった問題に取り組んでいる。

◇また、研究上の問題設定の仕方と、それを明らかにする方法論としてのフィールドワークの関係一般についても、実践的な問いとして関心を持っている。

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中村 沙絵 NAKAMURA, Sae [准教授]

老いや病い、ケア、福祉に関する人類学的研究。苦悩や身体、ケアなど医療人類学における諸テーマに加え、喜捨や人道主義など、広義に「贈与」とよばれる現象に関心がある。主たるフィールドはスリランカ、南アジア。

◇ケア、具体的には養育・養老、医療や福祉に係る諸行為は、社会を維持し再生産する重要な営みであると同時に、他者との関わり合いに関して根源的な問いを提起する。それは、他者の痛みを体験できないなかで如何に相互に関わり合うのか、とか、ケアという自己贈与(犠牲)の行為をしながら私たちは如何に自らの生命を肯定するのか、といった問いである。これらの問題について、生活世界の深層から考えることを大きなテーマとしている。

◇移動が常態化し、ケアの営みやこれに関わる制度が形骸化あるいは再編されているなか、新たな親密圏やケアの倫理がいかに構築されうるか、というテーマにも関心をもっている。ケアの営みに関わる制度や実践は、当該社会の歴史的文脈、価値観、環境との関わりあいのなかで形成されていく。このプロセスについて、これまで高齢化の進むスリランカを対象に研究してきた。

◇上述したような人々のon-goingな実践に学び、記述を通してこれを共有していくこと、及びその方法や意義についても検討を続けたい。フィールドワークやエスノグラフィーといった人類学の方法論やスタイルが、試行錯誤をつづける私たち人間の生にどんな意味をもつのか、「暮らし」と並走する研究のかたちを模索していきたい。

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福島 真人 FUKUSHIMA, Masato [教授]

科学・技術への人類学的アプローチ(STS: Social studies of science and technology), 現代的制度(実験室、病院、組織)の社会人類学、認知と学習の理論、比較宗教学。

◇科学・技術を社会人類学的に研究する、いわゆるscience studies, あるいは科学技術人類学が近年の中心的テーマ。科学的イノヴェーションは社会全体に広範な影響を及ぼしているが、 それを様々な文脈で分析する

◇近年は精神医療や、救命救急センター等の調査をしている。より広い文化的な文脈では、 こうした組織にかかわる、認知や学習のメカニズムにも関心がある。その他、東南アジアを中心とした宗教と政治には もともと関心があり、先端科学と伝統的宗教体系の固有の共振関係を研究するのが、研究プログラムの重要な側面である。

※2021.4より情報学環に流動教員として配置換

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宮地 隆廣 MIYACHI, Takahiro [准教授]

ラテンアメリカ諸国の政治と開発に関する研究。

◇主な研究関心はいわゆる「周縁化された人々」の政治参加にある。とりわけ、彼らのエージェンシーに焦点を当て、政治アクターとの相互行為や権威ある言説の即興的な利用、そして自身の経験の解釈を通じて、集合的利益や要求がいかに構築されてきたかを解明してきた。対象としてきた集団には農村部コミュニティ、労働組合、先住民組織が含まれる。

◇最近では、これまでの成果を政策決定や国家建設、民主主義の質といった政府の領域につなげ、社会運動の政治的帰結に関する研究を中心に行っている。

◇また、日本やその他アジア諸国におけるラテンアメリカ研究の発展にも関心を寄せている。ラテンアメリカに関心を持ったアジアの人々の長い軌跡をたどることで、なぜ我々は遠く離れた人のことを研究するのかについて、より深い理解が得られるのではないかと期待している。

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箭内 匡 YANAI, Tadashi [教授]

イメージの人類学。自然と身体の人類学。映像を中心とした、人類学のメディア論的実践。人類学と哲学(ドゥルーズ、フーコー、スピノザ等)。スペイン、南アメリカ。

◇ 文化人類学の今日的な諸テーマを、映画・映像などのイメージ的表現の実践や、哲学における議論と交叉させながら、文化人類学の「原論」のようなものを構想してきた(これを「イメージの人類学」と呼んでいる)。様々なフィールドに関する民族誌的記述や理論的考察、民族誌映画のような映像的ないしイメージ的表現、そして人々の日常的実践の三つの間を行き来したりしながら、人間の生をめぐる考察としての人類学を深化させること。地域として関わりが深いのは、スペインおよび南アメリカのスペイン語圏である。

◇ 授業では「イメージの人類学」という概念装置を軸に、これまでの大学院授業では、バイオミミクリーの人類学。自然経験の人類学、植物人類学、emotion/affectをめぐる人類学、生物学と人類学、感覚イメージの人類学、福島の原発被災、自然と身体、映像とメディア、フーコーの哲学、フィールドワーク論、南米先住民人類学、イメージの経済、芸術/人類学、F・ワイズマンの映画といったテーマを取り上げてきた。院生指導に関しては、上記のような私の人類学についての考え方と対話する形で―必ずしもそれを共有しなくてもよいが―、自らの考察を発展させる形になれば、うまく研究指導ができるだろうと考える。

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渡邉 日日 WATANABE, Hibi [教授]

知識・経済・集団範疇・言語に関する社会人類学的研究、文化・社会概念及び市民社会に関する理論的研究。研究地域は旧ソ連・東欧(特にロシア連邦ブリヤート共和国)。

◇広く言えば、知識(学校教育や学術の社会との関係)・経済(農村経済・マイナーエコノミー・新自由主義。調整機構としての政治にも関係します)集団範疇(クラン、エスニシティ、ナショナリティ、シティズンシップ)・言語(多言語状況での自己呈示や言説、メディア)に関する社会人類学的研究、(市民)社会概念に関する理論的研究をしています。対象地域は旧社会主義圏(特にロシア連邦ブリヤート共和国)で、1990年代からフィールドワークを断続的に行っています(近年の調査テーマは,地方政治や社会運動,学校教育)。

◇また、民族誌と革命思想との関係を含め、シベリア諸民族のロシア革命前の歴史についても関心を寄せながらも、文化・社会人類学の学説史・思想史的研究の重要性を意識しています。

◇最近は,言語コミュニケーションとパース記号論への関心から,特に航空事故を例にして組織事故とリスク対応についても調べています。観察と探求をめぐる理論的考察の一環です。

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東洋文化研究所スタッフ

名和 克郎 NAWA, Katsuo [教授]

社会・文化人類学、とりわけ集団範疇・儀礼・言語使用に関する人類学的研究、ネパール・ヒマラヤ民族誌。

◇極西部ネパール高地に位置するビャンス及び周辺地域におけるフィールドワークの成果を主たる基盤として、社会範疇(主に「民族」、「カースト」といった用語で論じられてきたもの)の構成、儀礼の変容過程とそれに対する慣習的行為や語られる規範の関係、多言語使用、翻訳、言語イデオロギーといった言語使用に関する問題系、等について、民族誌的、理論的な研究を行ってきた。抽象度を上げれば、主たる関心は規範と行為の関係性を巡る問題にある。

◇近年取り組んでいる具体的な課題としては以下のものがある。

    • ビャンス及び周辺地域の生業と生産の変容に関する歴史的再構成、

    • 主に1990年以降における、ネパール国家及び国内の様々なアクターによる、「グローバル」に流通する諸概念(例えば「人権」「民主主義」)の翻訳と受容の過程及びそうした概念の使用による影響、

    • 1996年以降マオイスト運動及びそれに関わる様々な動きがもたらしたネパール村落社会への影響

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藏本 龍介 KURAMOTO, Ryosuke [准教授]

制度宗教の人類学的研究。主な対象は上座仏教。主なフィールドはミャンマー(ビルマ)。

◇関心①:宗教組織の経営。ある宗教が掲げる理想がいかに高邁なものであったとしても、信徒がその理想の実現に向けて生きるためには、教義を学び、実践することを可能にするような具体的な「仕組み」が必要である。この「仕組み」を考える上で、経済的な問題は避けて通れない。つまりヒト・モノ・カネ・情報といった資源を、どのように獲得・所有・使用するかという問題である。このような関心のもとで、これまで現代ミャンマーの上座仏教僧を対象とした研究を行ってきた。近年は、ミャンマーでの研究を継続しつつ、「宗教組織の経営」という一般的な枠組みにおいて、この問題を追求している。

◇関心②:「制度宗教の人類学」の方法論的検討。確立した聖典/教義があるということが、制度宗教(キリスト教、イスラーム、仏教など)の重要な特徴であるが、同時にそれが制度宗教研究の難しさでもある。「聖典/教義」の社会的な振る舞いとはいかなるものか。そもそも「聖典/教義」なるものを、理論的にどのように捉えることができるのか。ミャンマー仏教の民族誌的研究を通して、この課題に取り組んでいる。

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大学院兼任担当スタッフ

森山 工 MORIYAMA, Takumi [教授]

マダガスカル社会の人類学的研究,フランス植民地主義史。

◇主たる研究内容は、インド洋西南海域に位置するマダガスカルの文化・社会に関する民族誌学的研究。マダガスカルの特定地域における現地調査にもとづいて、人々の生活実践のあり方を具体的に考察している。とくに、墓と、遺体・死者・祖先をめぐる観念と行為、およびその通時的な変化に焦点を当てている。

◇マダガスカルに関する人類学的研究を、近現代の歴史的な文脈に位置づけて把握すべく、歴史人類学的な展開のあり方を模索しており、とりわけフランス植民地主義史とのかかわりで考察を続けている。また、そうした歴史的経緯におけるフランス文化(フランス語文化)とマダガスカル文化(マダガスカル語文化)との包摂と対抗の相互関係に関心をいだいている。

◇より理論的な志向性をともなった研究動向として、「文化的自画像」や「文化の資源化」をめぐる考察があり、方法論的な志向性をともなった研究動向として、フィールドワークという〈方法〉をめぐる考察をおこなっている。

◇所属: 総合文化研究科地域文化研究専攻

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